夏の夜のいきものたち

蛙 カエル

蛙は、何度か蛾を捕えることに失敗したせいか、しばらくぴくりとも動きませんでした
目の前、すぐのところに小さな虫、大きな虫がやってきても待ち、なにもしませんでした。

私は、餌を捕らえるところが見たくて観察してたので、さすがに十分ちかく動かぬ蛙に飽きてしまいました。

飽きて観察をやめようとしたとき、大きな蛾が気配を消した蛙になんども近づきました。
それでも蛙は動かず。

そうして、その大きな蛾は、だんだん蛙にぶつかりながら何度も近くにやってきました。
それからしばらしくして、私が『こんなに近くに獲物が来ているのに、この蛙はなにをしているのだろうか』と疑問に思うほど時間が経った時、
ばくり、と近づいたその大きな蛾を捕らえました。

思い返せば、いままでこの蛙が虫達を逃してしまった時、いつも羽をねらっておりました。
しかし、この時は蛾の胴をとらえてばくりとやったのです。

この時、この蛙は、周りにいた中では一番デカかったので見つめていたのですが、『この蛙はだめな狩人なのかな』とすら思っていました。
でも、そんなことはなく、短い時間で学んで違うスタイルで狩りをして随分大きな獲物を捕らえたのでした。

他のこの蛙よりもちいさな蛙たちは、もっと小刻みに狩りをしていて、結局餌を得られぬままでした。
この蛙の大きさは『ほかの蛙よりも狩りが優れて生きてきた』ということでもあると感じました。
でも、大きくなると次は昼間に目立つようになり、大きな獣から狙われるはずです。
そして、いま狩りの下手な小さなカエルからもちゃんといい狩人が育つんでしょうね。

瞬間、瞬間に、今このときに、
しっかり、生きている、生きてきた、いきものたちは、全てそれぞれの知恵のもと生き抜いてきたものたちです。

狩る生き物も、捕食される生き物も瞬間をしっかり見つめると、ちからづよくて感慨深くてたまりません。

夏の夜の生き物たち、おもしろくてたまりません。